【あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律】第二条 解説

第二条 免許は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第九十条第一項の規定により大学に入学することのできる者(この項の規定により文部科学大臣の認定した学校が大学である場合において、当該大学が同条第二項の規定により当該大学に入学させた者を含む。)で、三年以上、文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の認定した学校又は次の各号に掲げる者の認定した当該各号に定める養成施設において解剖学、生理学、病理学、衛生学その他あん摩マツサージ指圧師、はり師又はきゆう師となるのに必要な知識及び技能を修得したものであつて、厚生労働大臣の行うあん摩マツサージ指圧師国家試験、はり師国家試験又はきゆう師国家試験(以下「試験」という。)に合格した者に対して、厚生労働大臣が、これを与える。
 厚生労働大臣 あん摩マツサージ指圧師の養成施設、あん摩マツサージ指圧師及びはり師の養成施設、あん摩マツサージ指圧師及びきゆう師の養成施設又はあん摩マツサージ指圧師、はり師及びきゆう師の養成施設
 都道府県知事 はり師の養成施設、きゆう師の養成施設又ははり師及びきゆう師の養成施設
 前項の認定を申請するには、申請書に、教育課程、生徒の定員その他文部科学省令・厚生労働省令で定める事項を記載した書類を添付して、文部科学省令・厚生労働省令の定めるところにより、これを文部科学大臣、厚生労働大臣又は養成施設の所在地の都道府県知事に提出しなければならない。
 第一項の学校又は養成施設の設置者は、前項に規定する事項のうち教育課程、生徒の定員その他文部科学省令・厚生労働省令で定める事項を変更しようとするときは、文部科学省令・厚生労働省令の定めるところにより、あらかじめ、文部科学大臣、厚生労働大臣又は同項の都道府県知事の承認を受けなければならない。
 文部科学大臣又は厚生労働大臣は、第一項に規定する基準を定めようとするときは、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければならない。
 厚生労働大臣は、厚生労働省に置くあん摩マツサージ指圧師、はり師及びきゆう師試験委員(次項において「試験委員」という。)に、試験の問題の作成及び採点を行わせる。
 試験委員は、試験の問題の作成及び採点について、厳正を保持し不正の行為のないようにしなければならない。 試験を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の受験手数料を国に納付しなければならない。
 前項の受験手数料は、これを納付した者が試験を受けない場合においても、返還しない。
 厚生労働大臣は、試験に関して不正の行為があつた場合には、その不正行為に関係のある者について、その受験を停止させ、又はその試験を無効とすることができる。
 厚生労働大臣は、前項の規定による処分を受けた者について、期間を定めて試験を受けることができないものとすることができる。

長い条文ですが難しいことは書かれていません。
免許を与える条件、養成施設を認定する手続きのルール、国家試験の問題などに関するルールなどが書かれています。
昨今、あん摩マッサージ指圧師の養成施設を新たに創設するためにある学校法人が申請を行い承認されたかったことで最高裁まで争われたことをご存知の方がいらっしゃるかと思いますが、この第二条が関わる裁判でした。
とりあえず一文ずつ細かく見ていきましょう。

第二条 
免許は、厚生労働大臣が、これを与える。

簡潔に述べますと、第二条の最初の文の結論はこれです。
どのような者に厚生労働大臣が免許を与えるかが細かく書かれていますが簡潔に箇条書きでざっくりまとめてみましょう。

大学に入学することのできる者
学校又は養成施設において必要な知識及び技能を修得し
あん摩マツサージ指圧師国家試験、はり師国家試験又はきゆう師国家試験に合格した者

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師の免許は大学に入学できて、必要な知識技能を習得し、国家試験に合格した者に対して厚生労働大臣によって与えられる、ということです。
一つ一つ詳細に書かれているので読みづらいですが本筋は上記の通りです。
では、①大学に入学することのできる者 とはどのような者でしょうか?

大学に入学することのできる者
・学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第九十条第一項の規定により大学に入学することのできる者
・(この項の規定により文部科学大臣の認定した学校が大学である場合において、当該大学が同条第二項の規定により当該大学に入学させた者を含む。)

ということなので、学校教育法第九十条をみてみましょう。

学校教育法
第九十条 大学に入学することのできる者は、高等学校若しくは中等教育学校を卒業した者若しくは通常の課程による十二年の学校教育を修了した者(通常の課程以外の課程によりこれに相当する学校教育を修了した者を含む。)又は文部科学大臣の定めるところにより、これと同等以上の学力があると認められた者とする。
 前項の規定にかかわらず、次の各号に該当する大学は、文部科学大臣の定めるところにより、高等学校に文部科学大臣の定める年数以上在学した者(これに準ずる者として文部科学大臣が定める者を含む。)であつて、当該大学の定める分野において特に優れた資質を有すると認めるものを、当該大学に入学させることができる。
 当該分野に関する教育研究が行われている大学院が置かれていること。
 当該分野における特に優れた資質を有する者の育成を図るのにふさわしい教育研究上の実績及び指導体制を有すること。

大学に入学できる者とは、
高等学校若しくは中等教育学校を卒業した者若しくは通常の課程による十二年の学校教育を修了した者(通常の課程以外の課程によりこれに相当する学校教育を修了した者を含む。)又は文部科学大臣の定めるところにより、これと同等以上の学力があると認められた者
であって、
次の各号に該当する大学は、文部科学大臣の定めるところにより、高等学校に文部科学大臣の定める年数以上在学した者(これに準ずる者として文部科学大臣が定める者を含む。)であつて、当該大学の定める分野において特に優れた資質を有すると認めるものを、当該大学に入学させることができる。
 当該分野に関する教育研究が行われている大学院が置かれていること。
 当該分野における特に優れた資質を有する者の育成を図るのにふさわしい教育研究上の実績及び指導体制を有すること。
」によって入学させた者
ということになります。
次に②学校又は養成施設において必要な知識及び技能を修得し について見ていきましょう。

学校又は養成施設において必要な知識及び技能を修得し
「学校又は養成施設とは?」
・三年以上、文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の認定した学校又は次の各号に掲げる者の認定した当該各号に定める養成施設
「必要な知識及び技能」とは?
・解剖学、生理学、病理学、衛生学その他あん摩マツサージ指圧師、はり師又はきゆう師となるのに必要な知識及び技能

条文からはこのように読み取れます。
では、次の各号に掲げる者の認定した当該各号に定める養成施設 とは誰の認定したどのような養成施設でしょう?
答えは次の各号です。

 厚生労働大臣 あん摩マツサージ指圧師の養成施設、あん摩マツサージ指圧師及びはり師の養成施設、あん摩マツサージ指圧師及びきゆう師の養成施設又はあん摩マツサージ指圧師、はり師及びきゆう師の養成施設
 都道府県知事 はり師の養成施設、きゆう師の養成施設又ははり師及びきゆう師の養成施設

厚生労働大臣が認定したあん摩マツサージ指圧師の養成施設、あん摩マツサージ指圧師及びはり師の養成施設、あん摩マツサージ指圧師及びきゆう師の養成施設又はあん摩マツサージ指圧師、はり師及びきゆう師の養成施設と、都道府県知事が認定したはり師の養成施設、きゆう師の養成施設又ははり師及びきゆう師の養成施設のことです。

学校又は養成施設において必要な知識及び技能を修得し とは、

「三年以上、文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の認定した学校又は厚生労働大臣が認定したあん摩マツサージ指圧師の養成施設、あん摩マツサージ指圧師及びはり師の養成施設、あん摩マツサージ指圧師及びきゆう師の養成施設又はあん摩マツサージ指圧師、はり師及びきゆう師の養成施設と、都道府県知事が認定したはり師の養成施設、きゆう師の養成施設又ははり師及びきゆう師の養成施設で解剖学、生理学、病理学、衛生学その他あん摩マツサージ指圧師、はり師又はきゆう師となるのに必要な知識及び技能を修得したという要件を満たすことが必要」

ということです。

あん摩マツサージ指圧師国家試験、はり師国家試験又はきゆう師国家試験に合格した者。についてはそのままですね。
「厚生労働大臣の行うあん摩マツサージ指圧師国家試験、はり師国家試験又はきゆう師国家試験に合格した者」ということになります。
次に進みます。

 前項の認定を申請するには、申請書に、教育課程、生徒の定員その他文部科学省令・厚生労働省令で定める事項を記載した書類を添付して、文部科学省令・厚生労働省令の定めるところにより、これを文部科学大臣、厚生労働大臣又は養成施設の所在地の都道府県知事に提出しなければならない。

「前項の認定を申請するには」の「前項の認定」とは何でしょうか?
これは養成施設の認定を意味します。
②は養成施設の認定のための申請について述べられている条文ということです。
申請書には以下のものを記載した書類を添付しなければならないと記されています。

①教育課程
②生徒の定員
③その他文部科学省令・厚生労働省省令で定める事項

そして提出先が以下の通りです。

文部科学大臣、厚生労働大臣又は養成施設の所在地の都道府県知事

③に進みます。

 第一項の学校又は養成施設の設置者は、前項に規定する事項のうち教育課程、生徒の定員その他文部科学省令・厚生労働省令で定める事項を変更しようとするときは、文部科学省令・厚生労働省令の定めるところにより、あらかじめ、文部科学大臣、厚生労働大臣又は同項の都道府県知事の承認を受けなければならない。

「第一項の学校又は養成施設の設置者」とは、「 厚生労働大臣 あん摩マツサージ指圧師の養成施設、あん摩マツサージ指圧師及びはり師の養成施設、あん摩マツサージ指圧師及びきゆう師の養成施設又はあん摩マツサージ指圧師、はり師及びきゆう師の養成施設」と「 都道府県知事 はり師の養成施設、きゆう師の養成施設又ははり師及びきゆう師の養成施設」の設置者のことです。
「前項に規定する事項」とは、②の「教育課程、生徒の定員その他文部科学省令・厚生労働省令で定める事項」のことです。
「教育課程、生徒の定員その他文部科学省令・厚生労働省令で定める事項を変更しようとするときは、文部科学省令・厚生労働省令の定めるところにより、あらかじめ、文部科学大臣、厚生労働大臣又は同項の都道府県知事の承認を受けなければならない。」はそのままの意味ですね。
養成施設の設置者は養成施設に変更がある場合は変更する前に文科大臣、厚労大臣又は都道府県知事に承認を受けなければならないということです。
次に進みます。

 文部科学大臣又は厚生労働大臣は、第一項に規定する基準を定めようとするときは、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければならない。

第一項には「文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の認定した学校又は次の各号に掲げる者の認定した当該各号に定める養成施設」とあります。この「文部科学省令・厚生労働省令で定める基準」を定めようとする際は事前に医道審議会の意見を聴かなければならないことになっています。
医道審議会の中に「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師分科会」という分科会が設置されていますのでそちらで意見を聴くことになります。あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師分科会のリンクを以下の通り添付しておきますのでご興味ある方は覗いてみて下さい非常に興味深い議事録が添付されています。
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師分科会

 厚生労働大臣は、厚生労働省に置くあん摩マツサージ指圧師、はり師及びきゆう師試験委員(次項において「試験委員」という。)に、試験の問題の作成及び採点を行わせる。

毎年国家試験の試験委員が発表されています。ちなみに2021年度第30回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師国家試験試験委員は以下の通りです。
2021年度第30回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師国家試験試験委員

 試験委員は、試験の問題の作成及び採点について、厳正を保持し不正の行為のないようにしなければならない。

そのままですね。

 試験を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の受験手数料を国に納付しなければならない。

ちなみに第30回のあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師国家試験の受験手数料は1試験につき14400円、2試験28800円、3試験43200円でした。

 前項の受験手数料は、これを納付した者が試験を受けない場合においても、返還しない。

そのままの意味ですね。

 厚生労働大臣は、試験に関して不正の行為があつた場合には、その不正行為に関係のある者について、その受験を停止させ、又はその試験を無効とすることができる。

厚生労働大臣の権限なのですね。

 厚生労働大臣は、前項の規定による処分を受けた者について、期間を定めて試験を受けることができないものとすることができる。

これも厚生労働大臣の権限なのですね。
以上、第二条の解説でした。

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