医療機関での治療に併用して「週1のはり治療を8回やったら『うつ症状』が改善した」という研究について

目次

頭のはり治療はいろんな効果が期待できる

先日、とある鍼灸の勉強会で学んだことについてこちらのブログで情報共有したいと思います。
※こちらのブログではかなり踏み込んだ表現をしておりますが、原則として各種症状の治療を医療機関で受けていることが大前提です。医療機関での治療にプラスαではり治療を加えたらより良い効果が出たという研究結果がある、という内容です。

結論から申し上げますと、「頭のはり治療はいろんな効果が期待できる」ということです。
「いろんな効果って、何に効くの?」と思いますよね。
例えば以下の症状です。

・うつ症状
・不安症状
・頸部の痛み
・不眠症状
・胃の不快感
・歯の痛み
・目の疲れ
・三叉神経痛
・ドライアイ
・顔面神経麻痺

どうですか?
これらの症状にお悩みの方は多くいらっしゃるのではないでしょうか?
ではどのくらいのペースでどのくらいの期間、はり治療をするとどのくらいの効果が出るのかが気になりますよね。
その辺りを次にご紹介します。

うつ症状、不安症状、頸部の痛み、不眠症状、胃の不快感について

上記の症状に関しては、以下のような研究が行われました。
1、対象者はうつ症状、不安症状、各種の身体症状に悩む気分障害の患者36人
2、頭部、頸部、上肢、下肢、背部の代表的なツボ(経穴)10個の中から選択し、そのツボにはりを打ち、そのはりに1秒に1回の間隔で断続的に電気を10分間流す
3、これを週に1回、12週間、およそ3ヶ月間続けました。
4、その間、薬物療法や心理療法などの標準治療は継続され、制限はされませんでした。

結果です。

・各種の身体症状ははり治療を始めてから3週目に症状が軽減されていきました。
うつ症状は8週目から症状が軽減していきました。
不安症状は9週目から症状が軽減されていきました。
身体症状に関しては、頸部の痛み、不眠症、胃の不快感、倦怠感、食欲不振、頭痛、下痢、便秘、腰痛の症状が軽減されました。
特に頸部の痛み、不眠症、胃の不快感への効果が特に大きいものでした。

これは、はり治療は気分障害に悩む患者の身体症状が改善され、日常生活の支障を改善させる結果でした。
うつ症状や不安症状よりも身体症状が先行して改善される様がみられました。

以下が参考文献です。

参考文献1:治療抵抗性の大うつ病性障害および双極性障害における身体症状と生活の質に対する鍼治療の効果:単群縦断研究

いかがでしょう?
被験者が36人と少ない研究ですが、医療機関での治療に加えて週にたった10分のはり治療を3ヶ月続けただっけでこれだけ症状の改善があるという結果ははり治療、試してみる価値はありそうですよね。

こちらのページで「そもそもうつ病とはどういう病気か?」について解説しています。
【精神科領域の鍼灸治療について】


この研究では頭と後頭部のツボの他に背中や上肢、下肢のツボも使用されていましたが、うつ症状、不安症状により効果的なツボは頭部のツボではないのだろうか?と思われる研究を次にご紹介します。

歯の痛み、目の疲れ、三叉神経痛について

三叉神経とは、顔全体や頭部の知覚や咀嚼運動に関わる筋肉を支配する神経です。
三叉神経の支配する領域の不調による症状は様々で、顔の部位の痛み目の疲れ歯の痛み、さらには精神疾患顔面神経麻痺として現れることもあります。
三叉神経領域へのはり刺激によって生体にどのような影響を与えることができるのか?
そんな研究についてご紹介します。
1、16人の健康な成人男性を対象とした研究です。
2、心拍数、心拍変動解析(心臓の自律神経機能評価の指標として活用します)、NIRS(血中の酸素化の状態や脳血流の変化を評価します)を測定項目としました。
3、実験手順は次のとおりです。
・座った状態で15分安静
    ↓
・5分間事前測定
    ↓
・合計10分のはり刺激(はり通電100Hzで痛みは伴わない強さ、もしくは通電なしのはり刺激)
4、はりを打つ部位は正中線上、眉間と髪の生え際の2箇所

結果です。

・はり通電で心拍数が低下しました。
・はり通電、通電なしともに副交感神経活動が上昇しました。
・はり通電で脳の前頭皮質の血流が上昇しました。


はり通電は心拍数が低下して副交感神経活動が上昇するのでリラックスさせる効果が期待できそうです。
前頭皮質の血流が上昇することについては特筆すべきところです。
なぜなら、うつ病では前頭皮質の血流が低下しますので、その場合、はり通電刺激は有効な手段となる可能性があるからです。

以下参考文献です。

参考文献2:三叉神経領域への電気鍼治療が前頭前野の自律神経系と脳血流に及ぼす影響

このように頭部へのはり刺激、特にはり通電によって多くの効果が期待できそうです。
他にも頭部、顔面部の症状であるベル麻痺、三叉神経痛、ドライアイの治療において薬物治療と比較してはり治療は非常に優秀であることが以下の参考文献からも垣間見られます。

参考文献3:ベル麻痺の治療における鍼治療の有効性を薬物と比較する

参考文献4:原発性三叉神経痛に対する鍼治療:系統的レビューとPRISMA準拠のメタ分析

参考文献5:鍼治療はドライアイ症候群に対して人工涙液より効果的:メタ分析に基づく証拠

まとめ:うつ症状、不安症状にお悩みの方は頭部のはり治療を週1回、8週間試しているといいかもしれない

以上、気分障害で医療機関を受診されている方は、ぜひ頭部のはり治療を週1回8週間試してみることをお勧めします。当院ではできる限り通いやすいコースメニューを作成中です。まだオープンになっていませんが対応は可能です。
ご希望の方は気軽にお問い合わせいただければと思います。

2024年1月より上記の新メニューがスタートしました。
check!【頭皮はり通電治療】
ご予約、お問い合わせお待ちしております。

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